独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
優しい眼差しと、温かな言葉に、再び涙が込み上げてくる。
「遼……うん。大丈夫。平気」
「立てるか」
「ありがとう」
差し伸べられた手に掴まり、私はゆっくり立ちあがる。
向かい合わせで見つめ合い数秒後、遼が苦しそうに瞳を細めた。
私の頭に触れ、何も言わないまま、その細長い指先で髪を梳く。
しかし私の耳で輝くピアスに彼は目をとめた途端、嬉しそうにその口元をほころばせた。
「つけてくれたんだ」
頷き返せば、綺麗な顔に微笑みが広がっていく。
遼も穏やかな表情をしているし、私も笑顔になっていく。
榊さんのことで強張っていた心が一気に解けていくような、そんな気分だ。
頭から手を離しても、遼は私を優しく見つめたままだ。
ちょっと照れながらピアスに触れつつ、私は言葉を選んで話を続ける。
「あの。本当に、このピアス私がもらっちゃって……」
このような高価なプレゼントを、あやふやな関係である私がもらってしまって良いのか。
ずっと心に引っかかっていたことを言葉に変えようとした瞬間、遼の人差し指が私の唇に触れた。
「これは俺が麻莉のために買ったものだ。何回聞いたところで、答えは変わらない」