独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます

彼の指先を意識してしまえば、私はそれ以上何も言えなくなってしまう。目を大きくさせたまま、彼を見つめ続けた。


「ほら、似合ってる。想像通り。買って正解」


べた褒めのような言葉をさらりと言われ、顔が熱くなる。

しかも遼の顔は私をからかっている風ではないから、その言葉が本音だと言うこともしっかりと伝わってくる。

だから余計、恥ずかしくて仕方がなくなっていく。

遼の顔をまともに見られなくなり、もじもじしてしまっている自分に情けなさを感じていると、中條さんと店長がそろって戻ってきた。


「笑顔でお見送りさせていただきました」


中條さんが報告ついでに口角を無理やり上げてみせた。

感情のこもっていないその微笑みに、遼と私はつい笑ってしまう。


「西沖さん、すまなかったね。大丈夫かい?」


店長が眉毛をハの字にさせながら、申し訳なさそうに私に話しかけてくる。


「休憩はまだだったよね。ここは私が片付けておくから、少し休んでおいで」

「店長ありがとうございます……お言葉に甘えて、休憩に入らせてもらいます」


店長に頭を下げ、続けて遼や中條さんに微笑みを向けてから、彼らに背を向けようとした瞬間、腕を掴み取られた。


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