独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
はっとして視線を上げれば、遼が私を引き留めるように腕を掴んでいた。
「俺も腹が空いたな、席は空いているか?」
「……は、はい……たくさん空いてます……けど」
店内に視線を走らせた後、遼は再び私で視線を止める。
「先に座って、待ってる」
不敵なほほ笑みにドキリと胸が高鳴った。
それは私の休憩の間、一緒にいてくれるということだろうか。
彼の意図に気付けば、一気に心の中が嬉しさでいっぱいになっていく。
そのまま彼は私を掴んでいた手を離し、近くにいる店長へと話しかけながら、身を翻した。
「仕事もしたい。広めのテーブルだと助かるのだが。空いてるか?」
「今すぐご案内いたします」
手と手が離れたというのに、この手と心に温かな余韻がしっかりと残っている。
忙しい彼が、こうして自分に会いに来てくれたこと、私との時間を大切にしてくれていることが、本当にうれしかった。
この温かな気持ちが、遼と会えない日が続き、どれだけ自分が寂しがっていたかを、彼を恋しがっていたかを教えてくれる。
早く彼の元へと行きたくて、急いでスタッフルームに戻ろうとしたのに、ふと聞こえた店長の言葉に足が完全に止まった。