独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
さらりと窘めてきた中條さんを遼はじろりと睨みつけ、眼差しで反論する。
中條さんのことを、怖い顔で睨んでくる人だとずっと思っていたけれど、ここ最近、その印象はだいぶ変わりつつある。
直接言葉を交わすことはあまりないけれど、遼とのやり取りを通して彼を見ていると、なんだか面白いのだ。
完璧人間だと一目置かれ続けてきた遼にさらりと嫌味を言ってのける人物は、これまであまりお目にかかったことがなく、二人のやりとりも、そして遼の新たな一面を見らることも面白くて仕方がない。
見た目から判断して、中條さんは三十代前半だろうか。
そんなことを考えていると、そっと頬に温かなものが触れた。
「メニュー見て、麻莉の好きそうなものを頼んでおいた。嫌だったか?」
自分に触れている遼の指先にドキドキしながらも、後悔しているかのようなセリフに私は慌てて首を横に振る。
「ううん。好きなものがよく分かったなってちょっと驚いちゃっただけ。私ね、このお店でこのパスタが一番好きなんだ」
嘘じゃない。頼んでくれた明太子のクリームパスタには、私の大好物であるエビとホタテがたっぷり入っている。