独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
改まって、それらが私の好物だという話はしたことがなかったはずだけれど、私が好んで食べていることを遼は気が付いていたのだろう。
「ありがとう。いただきます」
笑いかけると、遼がホッとした。
「まったくどっちもどっちですね。お互いを甘やかしすぎです。業務報告書に“出張最終日、胸やけ。いい加減にしろ”と書かせていただいても?」
中條さんのぼやきに、私たちは顔を見合わせたまま、苦笑いを浮かべた。
“いただきます”と手を合わせてから、遼が頼んでくれたパスタを口に運べば、そこから遼も中條さんも食事モードへと移行していく。
パスタと共に運ばれてきた生ハムの乗ったマルゲリータのピザを遼が頬張り、そして少し遅れて届いたスモークターキーとレタスがたっぷり挟まった厚切りのサンドイッチを中條さんが口へと運ぶ。
ほんのりと穏やかな空気の中、私は今なら聞けると心を決め、遼に問いかける。
「ね、遼って……この店のオーナーだったの?」
「え?……あぁ、まぁ。そうだけど」
「じゃあ、私がこの店にすんなり雇ってもらえたのは、遼のおかげ?」
もう一つ質問を続ければ、遼が動きを止めた。