独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます

相手は自分で決めたい。理想は、親の息がかかっていない人だ。


「お見合いはしません」


これだけは譲れない。はっきりと自分の思いを口にすると、一拍おいて、母が鼻で笑った。


「勘違いしないでちょうだい。見合いという段階は踏むけれど、それは形だけ。この方はあなたの結婚相手。夫になる人。決定事項よ」

「……何を言って……」


母の口から飛び出した横暴なセリフに、目を見開いてしまう。ショックで固まってしまった私を横目に、母は見合い写真へと手を伸ばし、表紙をめくった。

写真の中の見知らぬ男性と目が合い、思わず身を引いてしまう。


「榊典英(さかきのりひで)さん。39歳。彼はあの榊商会の三男坊よ」


笑みを浮かべている口元には白い歯が見えているけれど、肌が浅黒いからちょっぴり浮いて見え、それが少し滑稽だった。


「半年後には、榊商事の副社長に就く予定になっているわ。イギリスの有名な大学を出ていらして……それから……人望も厚く、好青年なの。あなたにはもったいないような男性よ」


短髪で筋肉質、そして色黒。肩幅のある体つきからして、なにかスポーツをやっていそうだけど、爽やかさはあまり感じない。


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