独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます


「俺とのことで呼び出されたのか?」


私だけを映しているその瞳を見つめ返したまま、こくりと頷く。


「父と偶然会っていろいろ言われてしまったみたいなの。申し訳ないことしちゃった」

「そうか。朝一で佳一郎が呼び出された理由もそれだな。あいつも父さんにいろいろ話を聞かれたんだろう」

「うん。そうかも。中條さん、私がコーヒーを持ってきた時、迎えに出てきてくれてたから」

「……まったく。聞きたいことがあるなら、直接俺に聞けばいいのに」


天を仰ぎながら出た彼の言葉に対し、遼のお父さんの言葉を思い出し苦笑いを浮かべていると、再び彼の視線が私に降りてきた。


「それで、何を言われた? 父さんは西沖社長の文句やくだらない世間話をするつもりで、麻莉を呼び出したわけじゃないんだろ?」


私たちの両親はお互いをよく思っていないこと。

遼のお父さんと私のお母さんは仲の良い幼馴染だったこと。

重ね置かれていた遼の見合い写真。

祝福されない結婚とたくさんの祝福を受けるだろう結婚。

見たこと聞いたこと感じたことが次々と脳裏に蘇ってくる。

何から話せばいいのか。どこまで話すべきなのか。そればかりが頭の中でぐるぐる回りだす。

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