独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
見合いをしたくないと駄々をこねていた私に、遼が手を貸すと言ってくれた。
その始まりだけは誰にも知られてはいけない。
墓穴を掘ってしまうのが怖くて、私はそれに対して答えることはせず、苦笑いを浮かべるにとどめた。
その態度が、美紀は気に入らなかったらしい。急速に彼女の顔から笑みが消えていく。
「まさか遼先輩から告白されたとか言わないよね」
声も凄味が増していく。嫉妬の交じった視線が痛い。
「遼先輩がお姉ちゃんのことをずっと好きだったとか、そんなわけあるはずないよね?」
学生の頃、亜由子と隅田君が付き合いだし、私と遼の距離が少しずつ近づき始めていた頃、同級生に焼きもちをやかれたことがあった。
同級生が自分に向ける妬みや、嫉妬で我を忘れたような表情を怖いと感じたけれど、今目の前にいる美紀から受ける怖さは、その比ではなかった。
全ての負の感情を凝縮させたような表情と声音に、ぞくりと背筋が寒くなる。生きた心地がしない。
「……ずっと好きだったなんて、そんなこと」
怯えで微かに指先が震えている。軽く拳を握りしめながら、私はなんとか言葉を返した。
すると不意をつくように、美紀が笑った。