独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます


「だよね。あの遼先輩がお姉ちゃんと付き合ってるってだけでも奇跡だっていうのに、ましてや遼先輩の方が昔からお姉ちゃんのことを好きだったなんて。そんなことあるわけないよね!」


肩を竦めつつ、明るい声で嫌味を言ってくる。


「遼先輩、お姉ちゃんのどんなところが好きなんだろう……知りたいなぁ。周りにいる良い女を上回るほどの、遼先輩が思うお姉ちゃんの魅力を」


するとまた突然、美紀が目を輝かせて私の方へと身を乗り出してきた。反射的に、私は身を引いてしまう。


「遼先輩はなんて言ってるの?」

「そっ、そんなの知らないよ」

「あんなにロマンティックに、パパや榊さんの元から連れ去ったりするんだから、なにかしら言われてるんでしょ? 教えてよ!」


仮に言われていたとしても、自分の全てを話せるほど、美紀のことを信頼している訳ではない。

むしろ、いい加減にして欲しい。はやく家に帰りたい。

精神的疲労を感じながら、適当に笑ってやり過ごすことに決めれば、美紀が私を見つめたまま目を大きくさせた。


「えっ……遼先輩って、本当にお姉ちゃんのこと好きなんだよね? 結婚したいって思ってるんだよね?」


どうやら私の気の抜けた笑みを、何も言われていないと受け取ったようだった。


「へぇ……じゃあ思ってるほどじゃないのかな」



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