独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
「遼が可哀想って思うなら、父が倉渕物産に圧力をかけてるって、直接本人に教えてあげればよかったのに。賢い遼の事だから、すぐに対策を講じて、スムーズに回避できていたかもしれない。そうなれば倉渕物産は美紀に感謝するでしょうし、これを機に西沖の人間を見直したかもしれない。それこそ、橋渡し役としての大事な一歩になったかもしれないのに」
子供の頃から、妹とは張り合うだけ無駄だと思い続けてきた。いくら言葉を発しても、私の訴えは誰にも届かなかったからだ。
今の私には諦めたくない場所がある。後悔したくないから我慢するのはもうやめる。
「出張中の遼に、わざわざ会いに行ったんでしょ? それを教えるのが目的じゃなかったとしたら、出張先を調べ上げてまで美紀が彼に会いに行った理由はなに?」
遼と会いたがるのも、いろいろ聞きたがるのも、さっきの美紀の言葉が全てだ。
私と遼を別れさせたい、自分が遼に近づきたい、自分の方が遼にふさわしいと、そう思っているのだろう。
私は両手をテーブルにつき、勢いよく席から立ちあがる。
込み上げてくる苛立ちを隠すこともせず、真っ直ぐに妹を見つめた。