独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます

まるで私のことが見えているみたいな言い方に、ドキリとしてしまう。


「ちょっと遠いけど、俺、麻莉の目の前にいるから」


からかってるだけだよねと思いながら周囲を見回し、そして彼の言葉に導かれるように前方に視線を止めた。

五十メートルくらい先、私の横を走る幹線道路の路肩に一台の車が停まっている。

運転席のドアの横に佇むすらりと細長い男性の姿を見つければ、鼓動が高鳴っていく。


「遼……どうしてここに?」

「麻莉の家に向かってた。そしたらちょうど麻莉が店から出てきたのが見えたから」


電話越しに言葉を交わしながら、遼が私に向かって歩いてくる。

どちらからともなく電話を切れば、まるでそれが合図だったかのように私の足も自然と動き出す。

私たちは見つめ合ったまま、互いの距離を狭めていく。


「遼!」


彼の目の前で一度足を止め、そして私は彼へと大きく両手を伸ばした。


「……麻莉」


頭のすぐ上から遼の低い声が聞こえてくる。

飛びつくように抱き付いた私を、彼は優しく受け止め、抱き締め返してもくれた。


「いきなりごめんね……でも、会えないって諦めてたから、会えたのが嬉しくて……本当に嬉しくてたまらなくて」



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