独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
そのあと顔を上げ、彼と視線を合わせた。
「あの……お仕事の方は大丈夫そう?」
「あぁ大丈夫。うまくいく」
うまくいく。その言葉に偽りはないだろうか。心の内を覗きこむように、私はじっと彼の瞳を見つめた。
「麻莉?」
遼から不思議そうな視線を返され、私は慌てて言葉を追加させる。
「あっ……遼の事を呼びに来た男性の顔がすごく焦っているように見えたから、心配になっちゃって。つい」
「そっか……うん。ありがとう」
そっと目を細めて、今度は遼が私のことをじっと見つめてくる。
熱い視線に顔を熱くさせてしまう。
恥ずかしさと緊張感がごちゃ混ぜになれば、もう平然とはしていられない。
彼と視線を通わせることも困難になっていく。
場の空気を変えるべくむりやり話題を捻りだした。
「ねぇ、遼はお腹空いてない……あっ。お弁当食べたんだっけ……雨、やんでよかったね……って、移動は車だしそこまで気にしてない?」
盛り上がる話題を提供できない上に、ちょっぴりから回ってしまっている。
項垂れると、そっと遼が私の頭を撫でた。不思議と心が落ち着いていく。
「腹は満たされてはいるけど、心は物足りなさでいっぱいだ。一日早めに戻ってきたのは、こうやって一緒に過ごしたかったからなのに、上手くいかない」