独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます


「曖昧な関係は終わらせたい……それで……それでね……」


幸せだった遼との時間を取り戻すことが叶わなくても、友人にすら戻れなくなったとしても、このままでは終われない。

ちゃんと気持ちを伝えたい。

また涙が零れ落ちていくのを感じながら、私は顔を上げる。

遼がとても苦しそうな顔をしていることに、ほんの一瞬たじろぎながらも、思いをゆっくり言葉に変えていく。


「私は……遼と、ここからまた新しく始めたいの……もっと、ちゃんと……」


しっかりと見つめ合えば、私たちの時間だけがわずかにとまった気がした。

道路を駆け抜けていく車のライトが互いの横顔を照らし、二つの影を浮かび上がらせていく。

途切れさせてしまった言葉を再び繋ぎ合わせようとした瞬間、女性の笑い声が聞こえてきた。

瞬時に湧き上がってきた不快さが、嫌な予感を募らせる。

ぎこちなく声のした方を振り返り見て、短く息を吸い込んだ。

すこしだけ私たちから距離を置き、美紀が立っている。

好ましくない事態に、視界がくらりと揺れた。


「やっぱりね。遼先輩がお姉ちゃんを相手にするなんてありえないもん。でも、恋人の振りをしていただけっていうなら、納得!」

「み、美紀」

「秘密にしといてあげてもいいよ。パパにも、もちろん倉渕社長にもね……ただし金輪際、お姉ちゃんが遼先輩と関わらないって、迷惑をかけないって約束してくれるならだけど」


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