独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます

お父さんだけでなく、倉渕社長の名も上げ、私の嫌がるポイントを確実についてくる。

ニコニコ笑っているのに、私には美紀の顔がとても恐ろしく見えた。


「ねぇ、お姉ちゃん! 恋人でもなんでもないんだから、さっさと遼先輩から離れなよ」


強く言われ、遼の腕を掴んでいた手が、微かに震えてしまう。

この手を離してしまったら、遼とはもう会えないような、そんな気がした。

自分の思いを遼に伝えていないのに、こんな形で終わりを迎えたくない。

まだ彼と離れたくない。


「麻莉」


突然、遼に力強く抱き寄せられた。

驚くと同時に、唇に柔らかな感触が押し重ねられる。

遼が私にキスをした。

しかも、交わしたことのない荒々しく奪われるようなキスを。

美紀が傍にいるというのに、すぐ横の道路は交通量も少なくないというのに、口づけは止まらない。

私はただただ翻弄されてしまう。


「まっ、待って」

「待つかよ。これ以上、お預けはごめんだ」

「……遼っ」


彼との口づけに、身体は素直に反応してしまう。

それを隠しておきたいのに、彼の名を呼ぶたび声が甘さを増していく。息も徐々に上がりだす。


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