独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
しかし座ろうとした瞬間、遼にすぐ後ろから呼びかけられた。
振り返ると同時に慌ててしまう。身構えるよりも先に、遼に身体を抱きかかえ上げられてしまったからだ。
「遼?」
「お互い、まだちゃんと言ってないことがあるだろ? 触れあいながら、ゆっくり話そう」
触れあいながらと甘く囁いたその唇で、私の唇を軽く奪っていく。
私を横抱きにした状態で、彼は器用に仕事部屋のドアを押し開けた。
電気を付けていなくても、窓から差し込む月明かりが、デスクの上に重ね置かれた実用書の本や、壁に飾られた風景画、そして窓際に置かれたベッドを浮かび上がらせる。
「麻莉が結婚するって聞いて、ショックを受けている自分がいた。失いたくないって強く思った。あの時、俺は麻莉のことが好きなんだって気付かされた」
ベッドの上に降ろした私に覆いかぶさるように、遼が身体を倒してくる。
キスを繰り返しながら、彼はジャケットを脱ぎ捨て、小気味よい音を立てながらネクタイを外す。
「自分の気持ちを素直に受け止めたら、どうしようもないくらい麻莉が愛しくて、欲しくたまらなくなって……けど翌朝、俺の前から麻莉が去って、目の前が真っ暗になった。このまま手の届かない所に行ってしまいそうで怖かった。榊の顔を思い出せば、渡すもんかって嫉妬で気が狂いそうにもなって……自分の感情をあれほどコントロールできなくなったのは初めてだった」