独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
これから気をつけようと反省したのも束の間、遼は服やバッグ、それから靴までも「麻莉に似合う」の一言で次々と購入していく。
その全てが私の意見を聞かずに買っているというのに、私が可愛いなとか素敵だなと感じる物を遼は確実に選んでいく。
最後の頃になれば、それはもちろん偶然ではなく、遼が私の好みをしっかり把握したうえでの選択なのだと分かってくる。
物だけじゃなく、食事だってそうだ。私が好む選択肢をさりげなく与えてくれている。
それに最近やっと気づくことが出来たけど、きっと昔からさりげない優しさを遼は私にくれていたのだろう。
アルバイトの女の子は私の背後を見て笑みを浮かべた。
「……あっ。噂をすればハイスペック彼氏」
小声で私にそう言って、ゴミ袋を掴み直すと、そそくさとその場を離れていく。
振り返り見れば、中條さんを引きつれこちらにやってくる遼の姿があった。
私は持っていた立て看板を足元に降ろし、遼へと身体を向ける。
「店長ならスタッフルームにいますけど……呼んできますか?」
私の前で立ち止まったまま店内に目を向けている遼にそう言葉をかけると、彼はゆるりと手を振った。