独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます


「いや。今日は寄らずに、このまま社に戻る」

「そう……」


呟くと共に、私は首を傾げた。

遼はその場から動くことなく、私のことをじっと見つめているからだ。

店長に用事があってきたわけではないとしたら、私になにか用があるのだろうか。

瞬きを繰り返していると、彼はそっと手を伸ばし、私の首元を飾っているダイヤモンドを指先ですくい上げた。

そして満足気に笑う。


“ほら似合ってる”


そう言われたような気がして頬を熱くさせていると、遼の後ろにいる呆れ顔の中條さんと目が合った。


「倉渕専務。いつまで自己満足に浸っているつもりですか? 麻莉さんはまだお仕事中のようですし、早めに要件を伝えて退散した方が良いのでは?」

「自己満足言うな」


遼は噛みつくように反論しながら、中條さんが差し出してきた紙を掴み取る。


「これ。仕事が終わったら目を通しておいてくれ」


そのまま、その紙を私に押し付けてきた。

受け取った紙は五枚ほどあった。一枚一枚確認し、私は動きを止める。

遼から渡されたものすべてに、物件の間取りが描かれていた。


「……こ、これは?」

「これから麻莉が暮らす場所の候補だ」



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