独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます

突然の着信に嫌な予感しかしない。スマホを見つめたまましかめっ面をしていると、遼が「どうした？」と私の横に並んだ。


「実家から電話」


素直に打ち明けたところで着信が途切れたけれど、ホッとする間を与えてはくれない。再びスマホが着信を知らせる。同じく実家からの電話だ。

私の横でそれを見つめる遼も、警戒するような顔つきになっていく。


「……私に何の用なのかな」

「出てみたら？」

「……うん……でも、なんか怖い」


気になるなら電話に出て要件を聞けばいいだけの話なのだが、遼に恋人の振りをしてもらっていたことが美紀にバレたこともあり、良い話だろうなんて楽観的でなどいられない。

何を言われるのかと思うと、恐くて仕方がない。

スマホを見つめたままなかなか電話を受けることが出来ずにいると、もう一つ、この場に着信音が響き渡った。

その音に反応したのは中條さんだ。さっと取りだしたスマホを見て一瞬動きを止めたのち、ちらりと遼に目を向ける。

その行動に「ん？」と反応した遼には何も言わないまま、彼はスマホを耳に押し当てた。


「はい……えぇ、いらっしゃいますが……分かりました。今、専務と代わります」