独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
そう言って、スマホを両手で持ち直し、遼へと差し出してくる。
「社長からです」
告げられた相手に、私たちは顔を見合わせた。
私は実家から、そして遼は父親から、同じタイミングで電話がかかってきたことに、警戒心が働き出す。
偶然なんかじゃない。電話の向こう側が一本の線で繋がっているようにしか思えない。
感じたことは同じなのか、遼が表情を引き締める。そして中條さんからスマホを受け取った。
「はい。代わりました」
挑むような彼の声を聞き、私も心を決める。
震える指で自分のスマホをタップした。
+ + +
「麻莉」
名を呼ばれ、ハッと顔をあげる。
料理が乗ったテーブルの向こうには遼が座っていて、少し心配そうな顔でじっと私を見つめている。
「大丈夫か?」
「ごめん。考えれば考えるほど、不安になっちゃって」
情けないくらい不安でいっぱいな自分に対し、苦笑いを浮かべた。
店の前でかかってきた倉渕社長からの電話を受け、遼はそのまま中條さんと共に倉渕物産へと戻って行った。
そしてその一時間後、私たちは待ち合わせの場所で落ちあい、こうして夕食を食べている。
私に実家から電話をかけてきたのは、父親だった。