独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます

緊張を隠せぬまま用件を聞けば、「不本意ではあるが、倉渕と会うことになった。今度の土曜だ。空けておくように」という言葉が返ってきたのだ。

どう言うことかと聞く私にそれ以上の説明をすることもなく、電話は一方的に切られてしまった。

だから私がもう少し詳しいことを知ったのは、遼と落ち合ってからである。

遼のお父さんが私のお父さんに、お互いの子供たちのために、逃げずに向き合い、腹を割って話をしないかと持ちかけたらしいのだ。

自分たちのいがみ合いが、私たちの未来を捻じ曲げることになるかもしれないと考え、受け入れられないことも沢山あるだろうに決意してくれたのだ。


「私たちのことを考えて行動を起こしてくれたのに、父と会ったら遼のお父さんに嫌な思いをさせてしまいそうで怖い」

「そんなのお互い様だろ。気にするな」


フランボワーズのアイススフレを一匙すくい上げ口に運んでから、小さく息を吐き、手にしていたスプーンを置く。


「私のお父さんね、遼のお父さんに嫉妬してるんだと思う」


父から感じ取っていたことを思い切って打ち明ければ、そう言えばといった様子で遼が「あぁ」と呟いた。


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