独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
『恩知らずなのは、母親譲りね』
さっきの言葉を思い出せば、悔しくて、悲しくて、また涙が零れ落ちそうになる。
お見合いを付きつけてきたあの女性は、私と血のつながりはない。
実の母は私が小学3年の時に亡くなっていて、その1年後、父はあの女性と再婚したのだ。
妹とも血のつながりはない。あの人の連れ子だからだ。
父と血の繋がりがある娘は私だけ。
しかしあんな調子で、父は母がすることに口を出さないため、私の味方をしてくれることはない。
私が母に嫌味を言われても、きつい言葉を投げかけられても、父は何もしてくれないのに、人懐っこい妹のことはちゃんと可愛がっている。
不公平だという思いをずっと抱えていたけれど、私はずっと言葉にできずにいた。
大学を卒業と同時に父が代表取締役を務めている西沖ホールディングスへと入社し、それと同時に母の私に対する風当たりも強くなっていった。
無能。役立たず。それでもこの大企業で働けているのは、親のおかげだ。
そう言われ続け一年が経ったとき、不満が爆発した。私は辞表を出し、西沖家をも飛び出したのだ。
それから四年、連絡を取り合うこともなかったから、逃げられたのだと思っていた。