独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
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金曜日の夜。私は父に呼び出され、高級アパレルブランドの店舗内にあるVIPルームにいた。
「あいつらが一目置くくらい見栄えのする服なら何でもいい……さっさと決めろ」
当日私にみすぼらしい服を着て来られては、自分が恥をかくと考えたらしい。
私をそれなりに着飾らせることが出来れば値段は問わないとソファーに大きな態度で座っている父に、私はため息をつく。
父の意見を反映させ、スタッフが持ってくる服は私には派手なものばかりである。
ハンガーラックの隅の方にかけられている小花模様があしらわれた水色のノースリーブのワンピースに触れる。
これは最初の頃にスタッフがこれはどうですかと持って来てくれたものだ。
正直、原色などを使った派手なものや露出が高めな洋服より、この服の方が私は好きである。
だからこれが良いと言ったのだけれど、それでは控えめな印象を与えてしまうと、私の意見は父によって即座に却下されてしまった。
父が望むのは派手な服である。
このままでは着せられた感満載で遼や遼のお父さんと会うことになってしまう。
私を見て遼はきっと、一目置くどころか似合わないと鼻で笑うだろう。憂鬱だ。