独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
ハンガーラックに戻されてしまった小花模様のワンピースを見つめていると、対応してくれている店員のうちの一人が私の元へやって来た。
「お嬢様、こちらではいかがでしょう」
店員さんが私にオレンジ色のワンピースをあてがえば、父の傍にいる店長の女性が「お似合いですよ!」と必要以上に私を褒め称える。チームワークは抜群だ。
ベロア生地のそれは、裾はアシンメトリーになっていてラインは綺麗だと思うのだが、キャミソールタイプだからか、可愛いと言うよりはセクシーで、やっぱり派手だ。
「ピンクもありますよ! わぁ! すっごく良いです! 可愛いですよ!」
もう片方の手に持っていた色違いのものも、店員さんは意気揚々と勧めてくる。
確かにワンピース自体は可愛いかもしれないけれど、結婚を考えている相手やその親との顔合わせの場に着ていく服装ではないように思える。
私は苦笑いをしてしまう。
「こういうのは、私にはちょっと……妹の方が似合いそう」
ふっと美紀の顔を思い出しぽつりと口にすれば、すぐに店長が私の呟きに反応した。
「そうですね。美紀さんもとても良くお似合いになられると思います。この前いらっしゃったのは確か一か月ほど前でしたね。あの時は……」