独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
「ひどいよ! お姉ちゃんとだけ買い物に来るなんて。しかも私、お姉ちゃんと会うことだって一言も聞いてないし」
「あぁ美紀。悪かった」
「悪いと思ってるなら、私にも何か買って!」
「仕方ないな。分かった。お前も好きなのを選べ」
美紀は「やったー!」と手を叩きながら嬉しそうに父へと歩み寄り、「パパ大好き」とぎゅっと抱きついた。
「お前を連れてきたら、二人分の買い物に付き合わなくてはいけなくなるから、あえて教えなかったというのに、まったくお前は」
美紀には甘い父を腹立たしく思う傍ら、甘え上手な美紀をちょっぴり羨ましくも感じてしまう。
ふふふと笑いながら美紀は父から身体を離し、私へと目を向けた。表情や視線の温度が下がったのを感じ、私も気持ちを引き締める。
「お姉ちゃん。何を買うか決まった?」
「……まだだけど」
「そうなんだ」
美紀はおもむろに私から顔をそらし歩き出すと、並べられている服やバッグ、アクセサリーなどを気の向くままに眺め始める。
「倉渕様は、お嬢様がよくお店に来ていただいているのですが、一度だけお兄様と一緒にご来店されたことがあるんですよ」