独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
「まだ決めてないよ。お父さんはこれが良いってずっと言ってるけど、私は……」
「えー。そうなんだー。良いなぁ、お姉ちゃん。私もこれ欲しい!」
自分の身体にワンピースを合わせながら、美紀は鏡の前へと進んでいく。そして満足そうな笑みを浮かべながらその場でくるりと一回転する。
「待ちなさい美紀」
「いいじゃん、お揃いで買ったって!」
「だがな。それは明日……」
「別に買ったところで私は明日着るわけじゃないんだし。何の問題があるのよ! お姉ちゃんは似合うけど、私には似合わないとか、パパはそう言いたいの?」
父は威厳を保とうとするけれど、やっぱりかなわない。話の主導権は美紀が容易く手にした。
「それは美紀が買うといいよ。私より美紀の方が似合うから」
すっかり黙り込んでしまった父に呆れつつ、私はハンガーラックへと歩み寄り、自分の好きな方を手に取った。
「お父さん、私はこっちにするね」
父へと振り返り、小花模様のワンピースを自分にあてがってみせた。
自分の思い通りにいかなかったからだろうか。父は表情を強張らせて、私を見ている。
怖い顔をしてみせたところで無駄だ。私だってここは自分の意見を通させてもらう。