独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
「本当に!? お姉ちゃんありがとう! 私はこれ! このオレンジ色にするね!」
自分の思い通りに事が運んだ美紀は嬉しそうに声を弾ませたが、私が手にしているワンピースを目にした途端、信じられないと言った様子で瞳を大きくさせた。
「……えっ。お姉ちゃん、本気!?……それ……すっごく地味じゃない!?」
「そんなことないよ。私は可愛いと思うけど」
「地味だよ! そんなんじゃ、地味な女を選んだって遼先輩が笑われちゃうじゃない!」
地味を連発され、店長さんは口元を引きつらせた。もう微笑みを保てなくなってしまったらしい。
「お姉ちゃんが着ないっていうなら、私が着ちゃおうかな。このままじゃ、明日はお姉ちゃんより私の方が目立っちゃうけど、仕方ないよね。これを着て行ったら、遼先輩はどう思うかな」
美紀は改めて鏡と向き合った。
そこに映る自分に真剣な眼差しを向けてから、私と私が持っているワンピースを確認するようにちらりと見て、嬉しそうにほほ笑んだ。
明日の集まりは、お互いの父親、そこに遼と私を交えての四人という形で行われることを期待していたけれど、どうやら無理そうだ。
美紀の口振りから察するに、明日彼女も父についてくるつもりらしい。