独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
けれど、私の考えは甘かったみたいだ。
誰かに決められた結婚なんて嫌だけど、結局は従うしかないのだろうか。
ウェディングドレスを着ている自分を想像できても、隣に立つ男性をうまく思い描けないというのに。
私はごろりと寝返りをうち、ドアを睨みつけた。
逃げ出したい。どうにかして、逃げ出したい。
でも、家から出られたとしても……バッグが無い。
自宅の鍵もないし、お金もない。
どうしたら良いのか分からない。
ゆっくり身体を起こし、ぼんやりと窓の向こうを見た。
風が強いらしく、すぐそばにある大木の葉がざわざわと音を奏でている。
私はあっと小さく声を発し、窓へと足早に歩み寄った。
窓の外には大きな木。手を伸ばせば、届かないことはない。
それに、お金も鍵もないけれど、かくまってくれる友人はいる。
うまくいけば、明日の見合いを回避することができるかもしれない。
ここは2階。行動を起こすには勇気がいるし、下手すれば、少し痛い思いもするかもしれない。
けれど……何もせず後悔するよりはましだ!
私は覚悟を固め、静かに窓を開け放った。