独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます

ついでに、そのオレンジ色のワンピースを着るつもりなのだろう。

彼女が気にしているのは、私より目立ってしまうということよりも、私と自分のどちらが可愛く見えるか、遼がどちらを可愛く思うかだろう。


「私は私が着たいものを着て行くから、美紀も好きにしたらいいよ。たとえ私がどんなに地味な格好で行ったとしても、それで周りに笑われたとしても、遼はちゃんと私のことを受け入れてくれるから。大丈夫」


明日だけじゃない。これから先、誰かに私を地味だと笑われたとしても、遼は私のことを胸を張って恋人だと言い続けてくれる。そう信じている。

私たちの関係は偽物なんかじゃない。私たちは正真正銘の恋人なのだから。


「……へぇ……そう」


美紀が表情を変える。にこやかさなど、どこにも見当たらない。

きっと今の私も、美紀には同じように見えていると思う。

どんなに邪魔されようと、遼は渡さない。

私は強くそう思った。



+ + +




「……着いたから切るね」

「分かった。またあとで連絡入れる」

「うん。待ってる」


遼の優しい声に落ち着きを取り戻しながら、私は電話を切り、スマホをバッグの中にしまう。

タクシーが左折し、ホテルの玄関前へと進んでいく。


< 190 / 220 >

この作品をシェア

pagetop