独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
ついでに、そのオレンジ色のワンピースを着るつもりなのだろう。
彼女が気にしているのは、私より目立ってしまうということよりも、私と自分のどちらが可愛く見えるか、遼がどちらを可愛く思うかだろう。
「私は私が着たいものを着て行くから、美紀も好きにしたらいいよ。たとえ私がどんなに地味な格好で行ったとしても、それで周りに笑われたとしても、遼はちゃんと私のことを受け入れてくれるから。大丈夫」
明日だけじゃない。これから先、誰かに私を地味だと笑われたとしても、遼は私のことを胸を張って恋人だと言い続けてくれる。そう信じている。
私たちの関係は偽物なんかじゃない。私たちは正真正銘の恋人なのだから。
「……へぇ……そう」
美紀が表情を変える。にこやかさなど、どこにも見当たらない。
きっと今の私も、美紀には同じように見えていると思う。
どんなに邪魔されようと、遼は渡さない。
私は強くそう思った。
+ + +
「……着いたから切るね」
「分かった。またあとで連絡入れる」
「うん。待ってる」
遼の優しい声に落ち着きを取り戻しながら、私は電話を切り、スマホをバッグの中にしまう。
タクシーが左折し、ホテルの玄関前へと進んでいく。