独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
昨日行ったアパレルブランドの話や、今から行くフレンチレストランの話で、母と美紀は盛り上がっている。
着替えた美紀を可愛いと母は褒め、褒められた美紀は恥ずかしがりながらも満更ではない様子である。
ふたりの変わらぬ様子に懐かしさを感じながら、ぼんやりと鏡の前に座っていたのだけれど、話題が遼や倉渕物産のことに移れば、落ち着かなくなっていく。
父の影響を受けているのか母は倉渕物産のことをあまり良く思っていないようだけれど……なぜか、遼のことは嫌っていないようだった。
遼の容姿を褒める美紀に同調するように、遠回しではあるけれど母も彼のことを褒めているのだ。
遼は、私のお見合いの邪魔をし、母の思惑を打ち崩した張本人だ。
性格からして、恨みつらみを口にすることはあっても、褒めることなど絶対にしないはずなのに、遼だとどうやら違うらしい。
さすが遼と言うべきだろうか。
とは言え、自分の恋人である遼を母と美紀が褒めるのを聞いても、あまり嬉しく感じない。
いつも通り、美紀は自分の彼氏の自慢話でもしているかのような口ぶりだし、母も私の恋人というよりは美紀の思い人として話を楽しんでいる節があるからだ。