独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます

ひと足先にエレベーターの前に到着すれば、すぐさまボタンを押す。

立ち止まることを許さないかのように、美紀は私の腕を強く掴んで引っ張っていく。


「……お姉ちゃん？」


急に美紀が立ち止まり、私から手を離した。怪訝な眼差しで私の背中……後ろ手で縛られているあたりを見た。


「まさかとは思うけど」


腕に触れていたから私の微妙な動きを感じ取られてしまったらしい。

美紀は私から上着を勢いよく掴み取った。そして手を見て、焦りの表情を浮かべる。


「きつく縛ったのに。大人しくしててよ！」

「嫌！　絶対に嫌！」


再び掴もうする美紀の手を慌てて避けた。あと少しだというのに、ここで結び直されるわけにはいかない。


「言ったでしょ、最後まで遼と一緒にいられる方法を探し続けるって！　諦めたりしないって！」


強く反発すると、美紀が悔しそうに顔を歪めた。

私たちの不穏な空気を察したのだろう。エレベーターの前にいた斉木さんが急いで戻ってくる。


「紐が解けそうなの！　抑えるから縛りなおして！」


美紀は事態を大声で告げ、両手で私を掴みにかかる。