独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
「おい待て。どういうことだ」
遼の後ろから遼のお父さんが歩み出たけれど、父は遼のお父さんには目もくれず、自分を見つめる遼と話を続ける。
「麻莉はお前と縁を切りたいそうだ」
父の言葉を聞いて、遼は眉間にしわをよせた。すぐさま鋭く問いかける。
「麻莉が本当にそんなことを?」
「あぁそうだ。金輪際、娘には近づかないでもらいたい」
「……なるほど」
そこで何かを察したように、口元に薄く笑みを浮かべた。
「嫌です。出来ません。彼女はどこですか」
私はここにいる。いますぐ遼のもとに行きたい。
足が一歩前に出れば、それに反応して、腕を押さえつけている男性の力が強まった。
私は歯を食いしばり必死に痛みを耐えた。
「麻莉さんは遼の事を大切に思っていると言ってくれた。縁を切りたいだなんて、信じられん」
疑わしいと言わんばかりに、遼のお父さんは自分の考えを主張する。
私のことを信じてくれていたことが嬉しくて、目頭が熱くなる。
「大事に思っているですって? 笑わせないでいただきたいわ!」