独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
両方の父親へと遼が意味ありげな視線を送れば、どちらも彼からそっと視線を逸らした。
一つ咳払いを挟んでから、遼は再び冷静な面持ちで話し出す。
「話を戻しましょう。確かに、麻莉との距離が縮まるきっかけはそれでした。けど俺は、その時はもう彼女に本気でした。だから麻莉の未来をすべて背負う気持ちで、俺は話を持ち掛けた。今はもう、俺たちの関係に嘘偽りなどありません。麻莉も俺の気持ちを受け止めて、温かな愛情を俺に返してくれています。正真正銘、俺たちは恋人です」
力強い輝きを湛えた瞳をすっと細めて、遼は私の父をじっと見つめた。
「答えてください。麻莉はどこですか?」
威圧的な響きを持って発せられたその一言に、父も母も美紀も言葉を失っている。
遼の気迫にのまれてしまったのは、三人だけじゃなかった。私の目の前に立っているスーツ姿の男性は呆然としているし、私の腕を抑えている男性の力も完全に抜けてしまっている。
私は意を決し、自分の口を塞いでいる斉木さんの手に思い切り噛みついた。
途端、斉木さんは悲鳴を上げ、素早く手を引っ込めた。
「……遼っ!」
力いっぱい彼の名前を叫ぶと、遼が私の方へ身体を向ける。
「麻莉!」
すぐに私を見つけてくれた。
駆け寄ってくる彼の姿を目にし、安堵で足元がふらついてしまう。