独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
なぜか、綺麗な横顔から目が離せなくなってしまった。
こうして間近で見れば、彼の顔がいかに整っているかがよく分かる。
色白の肌はきめ細やかだし、くっきりとした二重の瞳も大きくて綺麗で、顎のラインだってシャープだし、唇の形だって……。
薄い唇を目線でなぞった時、倉渕君が私を見た。
唇を盗み見ていた気まずさと、目と目が合ったことで、余計に距離がせばまったような気がした。
息を詰めた私に、倉渕君がにこりと笑いかけてくる。至近距離での完璧な微笑に、鼓動が跳ねた。
「ホント、世話のかかるヤツ」
途端に恥ずかしさが生じる。動揺しまくりの自分を見られたくなくて、熱くなった顔をそらした。
「世話してくださいなんて頼んでない! これくらい自分で出来る!」
「はいはい」
倉渕君は蛇口を止めると、ポケットからハンカチを取り出した。某高級ブランドのロゴが入ったそれで、傷口周辺を軽く拭いてくれる。
彼の手からぽたぽたと水滴が垂れている。自分より私を優先してくれているのに、可愛げのないことを言ってしまったことを、ほんのちょっと後悔した。
「……ありがとう」
そう言うと、倉渕君は唇の端を上げた。