独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
「気になる?」
「違うよ! ただ、そんな話を聞いちゃうと、そのあとどうなったのかなって」
「そういうのを気になるって言うんだろ? 普通」
恥ずかしさと気まずさを誤魔化すようにビールへ手を伸ばすと、肩を揺らし笑っていた倉渕君に先にグラスを掴み取られてしまった。
「お前、飲むペース早いから」
「飲まないとやってられないって言ったでしょ!」
取り返そうと試みるも、軽くかわされてしまった。
てっきり、飲みすぎだから取り上げたのかと思ったけれど、違ったようだ。
彼はグラスの縁に口をつけビールを飲み、そして満足そうな顔をしながら、軽くなったグラスを私の手の中へと戻してきた。
それはさっきまで私が飲んでいたグラスであり、彼が唇をつけたそこは、私が口をつけたあたりでもある。いわゆる間接キスだ。
手元に戻ってきたグラスに変な緊張を感じている私をよそに、倉渕君は運ばれてきた料理をさっそく頬張りだしている。
さっきの自分の行動に関して、特に何も感じていないみたいだ。
自分ばかり変に意識していることに気付かされれば、悔しさと共にさらに頬が熱くなっていく。