独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
「丁重に断った」
「え?」
「さっきの話の続き。顔が好みじゃなかったのもあるけど、それ以上に、食べ方が汚いっていうか、気になるっていうか。俺はきっと彼女の全部を好きになれないだろうなって本能的に悟ったんだよね」
ほほ笑みと共に、彼は私を見つめたままそう語った。
本心だろうと分かる言葉がじわりと心に染みこんできて、頭の中に一つの選択肢が生まれた。
「倉渕君。お願いがあるんだけど」
「ん?」
「私、今から、限界に挑戦するから。これから酔いつぶれるから。大変かもだけど、私を西沖の家まで運んでください!」
宣言するなり、私は手を上げた。
「何でもいいから、お酒持ってきて。とりあえず。10杯!」
「ちょっと待て!」
「お見合いしてやろうじゃない!……ただし私は二日酔いで行ってやる! お見合いの場に二日酔いで現れるような女、妻にしたいと思う!? 思わなよね!?」
少し身をのけ反らせながら、倉渕君が「まぁ、ね」と同意してくれた。途端、この方法が上手くいくような気持ちになっていく。
「結婚する人は自分で決めたい。好きだと思う人と結婚したい。私のことをちゃんと好きになってくれた人とがいいの! 親の思い通りにはさせない。ひと泡吹かせてみせる!」
私は高らかに宣言してから、唖然としている倉渕君をよそに、残りのビールを一気に飲み干した。