独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
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友人夫婦が営むお店を出て、私は倉渕君とアーケードの商店街を歩いている。
酔いつぶれると宣言したけれど、結局それは叶わなかった。
運ばれてきたお酒は倉渕君にほとんど飲まれてしまったし、途中からお酒は一切テーブルに並べられなくなってしまった。
さすがの私もソフトドリンクでは酔えない。
すべては倉渕君によるものだ。彼によって私の思惑は阻止されてしまった。
とはいっても、お酒が入っている状態なのに変わりはなく、普段よりも陽気に歩いていると、倉渕君が呆れ顔で話しかけてきた。
「ふらふらすんな。転ぶぞ酔っぱらい」
「やだなー。ふらふらなんてしてないよ」
「まっすぐ歩けてないし、足引きずってるのも痛々しい」
私たちは今、駅前に向かって歩いている。タクシーを拾ってから、倉渕君行きつけのお店に行く予定なのである。
楽しく飲んでいると、また斉木さんが陰気な空気を発しながら居酒屋すみだを訪ねてきた。
斉木さんは友人夫妻の迷惑顔を気にも留めず、私から連絡ありましたかとしつこく質問を繰り返したのだ。
倉渕君の機転もあり、即座に身を隠すことが出来た。
しかし、自分の存在が商売の邪魔になっていることを再認識してしまえば、もうここにいさせてもらうことも限界のように思えた。