独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
「お前……このまま結婚するのか?」
倉渕君の大きな手が、私の頬をなぞった。
背筋が甘く痺れ、感じる指先の熱さが鼓動を速めていく。彼の真剣な瞳に心が締め付けられていく。
自分を見失いそうになり、私は慌てて彼の手を払いのけた。
「やだなぁ、結婚なんてしないよ。どうにかして、この話なかったことにしてみせる。二日酔いがダメって言うなら、行儀の悪い食べ方でもして幻滅させようかな」
「確かに俺はそれで嫌になった。けど榊に効くかどうかは分からない……いや、たぶん無理だろうな。どう足掻いても、お前の作戦は無駄に終わる」
ハッキリ断言されてしまい、ムッとしてしまう。
「そんなのやってみないと分からないじゃない! やる前から希望を消すようなこと言わないで!」
「いや、分かる。見合いの場に行ったら最後、とんとん拍子に話が進んで、お前は榊の……妻になる」
倉渕君の胸元を両手で押し、私は彼の腕の中から出た。
「なによ。作戦でも立てようだなんて言っておいて。結局は、親の言う通り結婚するしか道はないって、そのまま人生諦めろとでも言うつもりだったんでしょ? もういい!」