独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
そこはハッキリしておかないと、喜多さんの立場が危うくなってしまう。
「でもあなた。麻莉の肩を持ったじゃない。そう思われても無理ないでしょ?」
「私は……」
「関係ないというのなら、あなたの責任で、今すぐ麻莉を着替えさせてちょうだい」
「お母さん!」
横暴な物言いに、たまらず二人の間に割って入ったけれど、母の瞳は揺らぐことなく喜多さんだけ捕え続けていた。
喜多さんは苦しそうに顔を歪めている。
「私の言うことが聞けないなら、辞めてもらって結構よ」
最後通告のような言葉が胸に突き刺さる。
顔色を失っている喜多さんを見て、感情の糸がふつりと切れたような気がした。
「着替えますから! それで文句はないわよね!!」
ほんの一瞬、我を忘れた。私は声を荒げて、そう宣言する。
「服ぐらい自分で着替えられます! お願いだから、関係ない人は部屋から出て行って!」
わめきながらそう要求すれば、母がいつの間にか室内に入ってきていたらしい家政婦たちへ目配せをした。
「先方をお待たせするわけにはいかないの。早くしてちょうだいね」
やっと一段落がついたとばかりにあっさりとそう告げてから、母は私に背を向けた。