独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
口元に温かな微笑みを浮かべて、私の瞳を覗きこんでくる。
「ありがと。すごく嬉しい。俺も麻莉が好き。だからずっと一緒にいよう」
「……遼」
切なくて込み上げてきた涙が、嬉しさで零れ落ちていく。
泣きながら笑えば、遼も笑みを浮かべたまま、互いの額をくっつけてくる。
「なんでよりによって、倉渕のせがれと……お前たちの交際など、ましてや結婚など、認められるわけがない」
唸るように吐き出された父の宣言に、ハッとさせられる。
「麻莉のことは榊君が幸せにすると約束してくれている。倉渕の出る幕はない。お引き取り願おうか!」
厳しく発せられた言葉に、遼の目元が険しくなっていく。
「嫌です。引きません」
はっきりと言い返され、父も口元を引きつらせた。苛立ちを露わにしていく。
「引けって言われてんだろ! 目障りなんだよ!」
榊さんもまた、遼に怒りにぶつけてくる。言葉と同じ乱暴さで、遼の胸元を掴み上げた。
すかさず、父も母に命令する。
「おい! 麻莉を連れてこい!」
「分かりました」
母がこちらに向かってくる。
動揺し動けずにいれば、胸倉を掴み上げられていることを気にする様子もないまま、遼が私に何か話しかけようとする。