独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
私を追いつめるように、母が歩を進めれば、遼が間に入ってきた。
「麻莉を失いたくない。俺はその一心でここに来ました。自分を突き動かすほどの彼女への強い思いが、この胸の中に確かにあります。ご縁がないなんていう言葉で片付けられたくありません」
彼の言葉に、トクリと胸が高鳴った。
私はそっと手を伸ばし、遼の背中に触れる。伝わってきた温かさに瞳を閉じた。
ずっと見てきた遼の背中。追いつくことも、触れる事も叶わないと思っていた。
振り返った彼が、私に手を差し伸べてくる。
その手に自分の手を重ね置けば、互いの顔に微笑みが生まれる。
遼はきゅっと私の手を握りしめてから、私の母、そして父へと視線を移動させる。
「榊さんと見合いなどさせません。麻莉は連れて行きます……行こう」
遼と共に、私も歩き出す。
「待ちなさい!」
「おいっ! ふざけんな!」
父と、秘書の男性に捕まっている榊さんから続けて声が上がった。
もちろん、私たちの足は止まらない。
「麻莉!」
追いかけてきたのは母だけだったけれど、それにもすぐに制止が入った。
途中で止めに入ってくれたのは、喜多さんだった。
「喜多さん!」