独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
「花澄さんのお気に入りのお店があるなら、そこで……」
「どこか適当なところで、俺たちだけ降ろしてもらっても良いんだけど」
花澄さんは私の言葉に表情を輝かせ、遼の言葉でしかめっ面になる。
「私もお腹空いてるんですけど。私も麻莉さんとおしゃべりしたいんですけど。むしろここで、お兄ちゃんだけ車から降りてもらっていいんですけど」
完全に声も顔もふて腐れている妹に対し、堪えきれなくなったように遼が笑った。
「冗談だよ。手を貸してくれたし、おごってやる。お前が好きな店に行ってよし……ただ、ここから少し離れたい。近場じゃないところで頼む」
「わぁ。やったー! 麻莉さん、本当に私がお店決めちゃっていいの?」
「はい。お願いします」
「わかりました~。嬉しいなぁ~。どうしようかな~。あの店もこの店も行きたい。迷っちゃう」
ご機嫌な花澄さんはさらに可愛らしい。眺めているだけで癒されてしまう。
「妹さん、可愛いね」
隣りに座る遼へと身体を寄せ、小声で感想を述べると、ため息が返ってきた。