独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
「そうか?……俺に言わせれば、鈍くさい」
「鈍くさい?」
「決めた! お寿司にする! お兄ちゃんの家の近くにあるお寿司屋さん!……えーっと。ここからの道がわかりません。少々停車いたします」
路肩に停車させ、花澄さんが車のナビを操作し始めると同時に、遼のスマホが鳴り始めた。
「俺……こっちは大丈夫。無事、花澄と合流出来た。そっちは?」
打って変わって、緊張感を漂わせる遼に、私は息をのむ。
相手は秘書の男性かもしれない。
そう予想すれば、やっぱり喜多さんのことを思い浮かべてしまう。
「……分かった。了解。俺たちこれから寿司屋に連れてかれる……そう花澄が気に入ってるあの店……ありがとう。そっちも済んだら合流して……待ってる。よろしく」
遼は通話を終えると、スマホの画面にふっと笑みを浮かべた。
「……遼」
思わず呼びかければ、彼がその微笑みを私にも向けてきた。
「喜多さんは今、俺の秘書と一緒にいる。もう少し行動を共にするらしい。大丈夫、あの場に残してなんかいないから」
いつものように自信たっぷりな笑みは、物事を上手く進めることが出来たのだと、そんな風に読みとれる。