独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
「お前、どこ曲がるつもりだ! そこ、一方通行だろ。標識あるだろ! ちゃんと確認しろ!」
「あはは。ホントだ。ごめん」
頼りない笑い声を響かせながら、慌てて元の車の流れに戻ろうとすれば、後ろからクラクションを鳴らされてしまった。
思わずドキリとし、後ろを振り返り見てしまう。
「ごめんじゃない。運転代われ!」
要求に対し運転席からあがった不満の声に、遼がため息を吐く。
「えー……でも……」
「良いから代われ……もうこれ以上、麻莉を不安にさせたくないんだよ」
「……私?」
びっくりし、つい口を挟むと、遼に微笑みで肯定されてしまった。一気に頬が熱くなる。
しかも笑みと共に、彼がちょっぴりばつの悪そうな顔をした。
表情から照れを感じ取ってしまえば、私も恥ずかしくてたまらなくなっていく。
「お兄ちゃんかがそんなこと言うなんて……参りました。今すぐ代わります」
自分の意見は通らないと諦めたらしい。花澄さんは素直に、車を路肩に寄せていく。
「まったく」と兄妹そろって同じ言葉を呟きながら、二人は席を交代する。
私の隣に座ると、花澄さんががっくりと肩を落とした。