独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
立ち上がった遼が私の隣に並び立てば、喜多さんが嬉しそうに顔をほころばせた。
「麻莉お嬢様のお相手が倉渕のご子息だなんて。これが運命かと、八重奥様のお導きかと胸が震えました」
八重奥様とはあの継母のことではない。亡くなった私の母の事だ。
お導きとはどういうことかと意味を掴めずにいる私の手をそっと離し、喜多さんは遼に向かって深く頭を下げた。
「いつまでも、どうかあなた様が麻莉お嬢様の居場所でいてください。よろしくお願いいたします」
「顔をあげてください」
遼はすぐに喜多さんへ声をかけ、私の肩をそっと抱き寄せた。
「俺にとって安らげる場所は、麻莉の隣です。だから麻莉にも同じように俺を求めてもらいたい、頼ってもらいたいと強く思っています」
恐縮した様子ではあるがゆっくり姿勢を戻した喜多さんへと、遼はいつも以上に完璧な微笑みを向けた。
その表情を横から見て、ちょっぴり複雑な気持ちになってしまう。
「心配しないでください。奪い返すためにあの場に乗りこんでしまうくらい、俺は彼女に惚れていますから」
ちょっぴり照れたようにそう言いながら、彼はその微笑みを私にも向けてきた。
「大切にする」