独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
その言葉は私にくれたものだ。
演技だと、真に受けてはいけないと分かっているのに、どうしても嬉しくなってしまう。
私は手を伸ばし、ぎゅっと遼のスーツを掴んだ。
「ありがとう。私もずっと遼のそばにいたい。……大好きだから」
みんなに見えている私たちは嘘で固められたものだけれど、本当はそうじゃないと、この胸の中にある本当の気持ちだけは知っておいて欲しかった。
問題が解決すれば、私たちはいずれ今まで通りの関係へと戻っていく。
一夜を共にしているから、私は今まで通りとはいかないかもしれないけれど、彼ならきっと以前と変わらない態度でいることが出来てしまうと思うのだ。
そうなってしまえば、彼への思いを言葉にすることは難しくなってしまう。
演技と割り切っているだろう彼には、この言葉が本気のものとして届かないだろう。
そう分かっているからこそできる、最初で最後の告白だ。
切なく思う傍ら、やっぱり緊張せずにはいられなかった。
彼の腰のあたりを掴む手に無駄な力が入ってしまう。
私を見つめていた遼が微笑んだ。
喜んでいるようにも、面白がっているようにも見えてしまえば、恥ずかしくて顔が熱くなっていく。
耐えきれなくなって視線を落とすと、彼が私の体を引き寄せた。
彼の腕にきつく抱き締められ、私は動けなくなる。