独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
「遼」
彼への思いが一気に膨らみ、私は自分の身体をすべて預けるように、彼に抱きついた。
遼が私のことを好きだったらどんなに幸せだろうか。すべて本当だったらいいのに。
遼の温かな腕の中、私は彼と共に過ごす幸せな未来を思い描かずにはいられなかった。
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まだもう少し食べたいと言う花澄さんと、仕方がないので俺が彼女を車で送りますと渋々了承した中條さんを残し、私は遼とふたりで店を出た。
駐車場に向かい遼が乗り込んだのは、赤いコンパクトカーの隣に停車していたセダンタイプの黒い車だった。
聞けば、赤のコンパクトカーは花澄さんのもので、スポーティなセダンタイプのものが遼の車らしい。
午前中から、中條さんと花澄さんは遼の命令で動いていたようで、中條さんは遼の車を使い榊さんの行動を、花澄さんは西沖の家を監視していたのだ。
その間、遼は自分の足で走り回っていた。
私の行きそうな場所を手当たり次第に訪ねていたと聞き、申し訳なく思う傍ら、不謹慎にも嬉しさを覚えてしまう自分がいた。
静かに車は進んでいく。
店の駐車場を出てから、途切れることなく会話は続いている。
けれどその内容は、先ほど食べたお寿司の話や、最近新しく出来たレストランの話や、自分の職場の新メニューのこととか食べ物の事ばかりで、ほとんど私ひとりで話している状態だ。
家から百メートルほど離れた場所にある公園の横を通りすぎ、私は小さく息を吐いた。