としのさ。
(SIDEコーチ)


7月の中旬、19時になったがまだ明るい空の下

珍しく爽やかな風が俺達の間を通り抜けた


「・・・は??」


マネージャーである文月はなんと言っただろう

いつも笑っているその顔は恥ずかしそうに頬を紅く染め、真っ直ぐな目をそらしている

その目が再び俺の目をまっすぐ見ると


「私、月島コーチのことが好きです」


ご丁寧に二度告白したのだ

世間ではJKと言われる分類に入る文月は何故

同級生や、先輩、後輩、歳が近い奴等に囲まれた状況で26歳の俺を選んだのだろうか

目つきも悪ければ口も悪く、その上身長の高い俺は近寄り難く、付き合った女子もいないわけで・・・


(悲しくなるからやめとこう)

とりあえず、嬉しいのは嬉しいが歳を考えろと言ってやりたい。

目を輝かせて俺を見上げる文月


「すまねぇな。お前の気持ちには答えられない」


一瞬固まると苦笑いで「やっぱりですか」と頬をかく

予想はしていたのだろう。

しかし、その顔は少し悲しそうで七分の罪悪感と三分の嬉しさがくるくる回る

文月は耐えられなくなったのか下を向いてしまう

前言撤回しよう、罪悪感しかない


「本当にす「うーん・・・」


・・・え?」


「コーチ、私のどこがダメですか?」


悲しんでいたのではなくどこがダメなのか考えていたようだ


(おい、俺の良心を返せ)


一つ大きな溜息をつき文月に言った


「お前まだ学生だろう」


10秒くらい間があいて、こいつは真顔で掌にぽんっともう片方の軽く握った手をのせ


「なーるです」


そういった

どうやら解決したみたいだ

もう一人のマネージャーに集合をかけられパタパタと体育館へと戻っていった
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