としのさ。
1.真夏の温度
(SIDEマネージャー)


朝練終了後、もう8時。

部室で課題をやっている人もいれば寝ている人、話している人もいる


「ねえ、わか」

「何ですかー?」


課題をやっている仲の良い方の前原徹、通称「とーる」

今は彼の背中に寄りかかっている私

そんな背中から私を呼ぶ声が聞こえた


「さっきの俺どうだった?」

「いつも通りでしたよ」

「・・・そっか」


後輩からはよ付き合っているのかと聞かれるが、決してそうではない

私の(未来の)旦那は副コーチの月島コーチである。

これでも大真面目だ


「よーし、皆、教室行くぞー」


主将の一言でダラダラしていた皆は動き出す

私と同じクラスのとーると関田伊織、通称「いおりん」はみんながゆっくりと歩く中

スタスタと自分の教室へ向かった


うちの学校は田舎の方で、それでも部活動が盛んなため生徒数は多すぎず少なすぎず

クラスは5クラスずつで1、2組は一応進学クラスである


「文月さん、関田くん、前原くん。朝練おつかれ、おはよう」


我がクラス2組の美人学級委員、国白さん

彼女は女子剣道部の主将でクールで優しい人気の女の子

そんな彼女にお姫様抱っこしてもらいたい女子は少なくないらしい

挨拶をそれぞれ返して席につく

そして数分後、授業が始まった


(早く部活にいきたいなぁ)


考えるのはいつもその事ばかり。

バレーが好きなのもあるが、一番の理由はやはり彼


「わか」

「どうしましたか?」

「当てられてる」


慌てて席を立ち前へと出る

その問題は昨日の予習でしたところ。一応は解けだが先生からは注意を受けた


(月島コーチに会いたい)「・・・はぁ」


深くため息をついて窓の外を見ていた
< 3 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop