としのさ。
『和歌のお菓子、大好きだな』


15年間一緒にいた彼は言った。

あの日のお菓子はカップケーキだったかな

あの日と同じカップケーキ、あの日と同じ髪型、違うのは

月島コーチと・・・


「こうちゃん・・・」

「先輩?」

「あ、ごめんなさい、なんでもないよ」


ボトルを持ったままぼけーっとしていたらしい

同じくマネージャーで後輩の牧野愛、通称「まっきー」は首を傾げていたが

私が笑って返事をすると安心したように笑って手を動かした


「そういえば、告白どうなりました?」

「フラれちゃいました」

「えええええ!?」


恋愛相談というものを互いにしていた

私は相手を教えていないがまっきーの好きな人は・・・また今度。

告白することを伝えるとやはり結果を聞かれてしまうわけで


「先輩は現世のナイチンゲールなんですよ!?
優しくてめっちゃ部に尽くしてくれて時々男前で真面目なこんなこんな美人様をフルなんて!!
諦めないんですか?先輩は前原先輩とお似合いなんですよ?」


すごく早口で肩を揺らしてくるまっきー


「とっとまって・・・うぇぇ・・・」

「は!!すみません・・・」


今にも泣きそうなまっきーの頭を撫でて笑って見せた


「諦めませんよ、だって好きですから」


「でもっ」と涙をポロポロ流すまっきー

自分のことのように悲しんでいる彼女の優しさがくすぐったくて

私が彼を好きでい続ける理由を話した


「私はいつもうじうじしていました。

その時、真っ直ぐでいじわるそうな笑顔で言われたんです。

『後悔しながらでもいい、1歩ずつ進め』って

その瞬間恋に落ちて、フラれた。正直、とても悲しかったです

もしも、好きな人が落ち込んでいたのなら、今までの『好き』と『ありがとう』を込めて

よりそってあげたいんです。

それまでずっと好きでいようと私は決めました。だから絶対あきらめることはしません。」


「でも!そのよりそった後に好きな人がほかの人と結ばれたら!」


たしかにそうだ。悔しいかもしれない。

それでも


「好きな人と彼の好きな人が結ばれて幸せそうなら

私は幸せなんですよ」


そう微笑むと彼女は涙を止めて


「先輩は優しすぎます!」


そう笑ってくれた
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