檸檬の約束
ピンポン。

インターホンを押してすぐおじさんは出た。

扉を開けて出てきたおじさんはおいで、と手招きした。

「彼氏と仲直りできなかったのかい。」

「家にいなかったから。」

「家にいなかっただけならここには来ないだろう?」

「・・・。」

「荷物がまとめてあって。」

「そうか。」

「キミが居たいならここにいてくれて構わない。」

「一人だし、誰に断る必要もないから。」

「おじさん、いいの?」

「ただし。」

おじさんは語気を強めていった。

「そのおじさんはやめてくれ。」

「確かにキミは若いし俺がおじさんに見えるんだろうけど。」

「解りました。」

「私は、戸嶋莢(とじまさや)です。」

「しばらくの間、お世話になります。」

「俺は鏑木綾人(かぶらぎあやと)。」

「よろしく。」

一軒家で私とおじさんの同居生活が始まった。
< 4 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop